論文紹介 4℃ on ice での搬送 について

当院では2010年12月から提供していただいた卵巣組織(30名)の凍結保存の基礎研究を行い、

その結果の一部をReprod Med Biol 2014;13:47-52で発表しました。

「4℃ on iceで搬送すれば、18時間までその卵巣を治療に用いることができる」と言う内容です。

本論文の内容と共に、卵巣組織の搬送について解説していきます。

卵巣凍結が進む欧州での凍結方法と搬送方法


2004年に悪性腫瘍の患者さんの凍結していた卵巣を融解・移植してはじめての出産がベルギーで報告されました。

(ちなみにタマラという名前の女の子です)

それから世界中で80名以上の赤ちゃんが誕生しています。

その妊孕性温存の論文

Donnez J & Dolman MM.Ovarian cortex transplantation: 60 reported live births brings the success and worldwide expansion of the technique towards routine clinical practice. J Assist Reprod Genet, 2015

を一部紹介します。

凍結法について

それによれば凍結方法でみると58名は緩慢凍結法、2名のみガラス化法(日本)で生まれています。

これについては欧州で1996年頃より緩慢凍結法で開始したこと、ガラス化法が開発されたのが2009年頃からと後発であり、

これからガラス化法による出産が増加してくると思われます。

その方法の優劣に関しては専門家同士で議論されていますが、出産の有無に加え、生まれた子のフォローを継続敵に行うことが必要で、

結論がでるまでに10年以上かかると思われます。

その意味では現時点では「緩慢凍結法」が世界的に見ても実績多数であることが言えます。

搬送方法について

搬送方法については、ドイツ・スイス・オーストリアにおいてFertiPROTEKT(代表 Markus Montag)というネットワークを構築しており、

卵巣組織を4℃ on iceで22時間以内に搬送して、この治療をおこなっており、16名出産の報告があります。

こうした実績と受けて当院でも最大22時間以内で日本全国の医療機関との卵巣組織の搬送システムを構築しています。

参考:Markus Montag

国土の広さや人口からみると、これからドイツがこの分野でトップになる可能性が高いと予想しています。

日本もこれから生殖医療や悪性腫瘍専門の医師・看護師・培養士・カウンセラーの連携がとれればますます発展して行く分野と思います。

日本産科婦人科学会や日本がん・生殖医療学会などと連携しながら、患者さまの生命を第一に、クォリティオブライフの向上に貢献したいと思っております。
当院でも実際に悪性腫瘍患者さんの卵子や受精卵の凍結を2003年から実施しています。

急性リンパ性白血病の患者さんは20歳で卵子凍結し、25歳でそれを融解して、夫の精子と顕微授精して2012年に元気な女の子を出産しています。

また、2015年12月からは悪性腫瘍患者さんの卵巣凍結ならびに卵胞穿刺(未成熟卵子の体外培養後に成熟卵子を凍結保存)の臨床応用を開始しました。

 

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